コラム【実録 支援の現場!】

引きこもり

相談者:32歳 男性「引きこもりの長男の暴力に悩む夫婦」 相談者:32歳 男性「引きこもりの長男の暴力に悩む夫婦」

家族間でも口約束はしない! 紙切れ1枚の効力

30代前半の長男は大学在学中から家に引きこもりがちで暴言、暴力もエスカレートしている。
解決するためには、まず両親が変わらければならない。ご両親ふたりで結束して闘うことを決意した。そして“契約書”によってその1歩が始まった。

きっかけは人間関係のつまずきと就職失敗

関東圏の一軒家に住む橋本さん(仮名)一家は、会社員の夫、近所でパート勤務の妻、32歳の長男と3人暮し。長男の暴言と暴力に悩まされ続けている。

長男は一浪して大学へ進学。そこで人間関係につまづき、あまり大学へは行かなくなった。
何とか卒業したものの、希望の職種に就けず、大半を家で過ごすようになる。ごくたまに短期のバイトをする以外はずっと引きこもっている。そんな生活がもう5年以上続いている。
長男は母親を「飯つくれ」「小遣いくれ」と家政婦や女中のように扱う。庭に火をつけて警察が来たこともある。そのうち、母親を足蹴にするようになっていった。親はそんな家庭の中で疲労困憊していた。

ある日、長男と両親は20万円のパソコンを買うか買わないかでもめた。長男は、就職活動に使うという。
両親に「家を捨てる覚悟はあるか」と聞くと、両親は「家はローンが残っているから、捨てられない」と答えた。
「会社から借り入れでローンを組んでるし、世間体もあるから、家を捨てて、夫婦だけ別に住むのは避けたい」と言う。

頭金を持ってきたら金を貸す

今、両親が一番困っていることは、長男の要求をのむか、のまないかだ。当然、今回20万円を出したら、この先、どんどん要求額は大きくなるだろう。そこでひとつの対処法として長男に20万円を貸すことを提案した。

「ただし、貸すのだから長男はきっちり返さなければならない。返すための財源はどこにあるか。今から働いて返すからといっても根拠がない。一般的に、金を借りる場合は担保が必要だし保証人だって必要だ。もっと言えば、給与証明だって要る。そういうまともな話から入っていけ」とアドバイスした。

家族間でも口約束はせず、覚悟を持って向き合う

今までこの家族は口約束だけだった。「言った」「言わない」がトラブルを起こしていた。親子っていうのはすべて口約束。これが誤りのもととなるのだ。当たり前のことを当たり前にすればいいのだ。世間で言う常識が、家族にとっては非常識になってしまうことがある。それが争いのもととなる。それを常識に戻さないといけない。

そして契約書などで約束事をするときは、家族そろって行うことだ。全員でなくとも、身内や親族のだれかひとりでもいいから第三者を入れて話すこと。両親は私の作戦どおりの契約書を作り、長男にサインさせた。

両親は、約束を守らなければ食事を一切与えないし、金も貸さない。長男にしてみれば大打撃となる。そうやって親が勝負していくのだ。それで暴れたら警察を呼べばいい。契約書がある限り、約束を破った長男が不利になるだけだ。
両親が、長男がサインをした契約書を持って私のところを訪れたときに「あなたたち自身が覚悟を持って変わっていくしかない」「この紙切れ1枚によって、あなたたちが変わるしかないっていうことを知ってほしい」両親がふたりで結束して闘うことができれば、長男を闇から引き出すことができると思う。
「立派な社会人を送り出すんだという使命でやらないとダメだ。長男はおたくらが作ったもの。それは、“生産者”の責任だよ」「本気で長男の自省を促し、自立を促したいと思うのだったら、覚悟を持ってやってみてほしい」

ここがPOINT

親は子供に甘いし、子供の暴力も怖い。だから子供の理不尽な要求をのんでしまうことが多い。
しかし子供と契約書を取り交わしていれば、契約を反故にした場合、ノーと言える。口約束では子供に押し切られても、書面があれば、親も踏ん張ることができる。子供には約束を守らせ、親も子供との約束を守ることが大切なのである。
とにかく「親が変わらない限り、子供は変わらない」と親が覚悟を決め、親自身が強く賢い親に変わることが最重要ポイントである。

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