コラム【実録 支援の現場!】

DV

相談者:20歳 女性「強い独占欲と嫉妬心に悩む女子大生」 相談者:20歳 女性「強い独占欲と嫉妬心に悩む女子大生」

束縛という暴力を断ち切る

同級生の男子と付き合い始めて1年。束縛がひどい彼氏と別れることを決意した相談者。
高山さん(仮名・20歳)は、1年ほど前に付き合い始めた同級生の彼(21歳)から「デートDV」を受けていて、友人と一緒に相談に来た。
若い学生の「デートDV」を解決させるために、お互いの母親を交えて話し合いを行った。

彼氏の束縛がエスカレート

暴力はこづく程度で恐くないのだが、なんといっても束縛がひどい。
1時間に1回はメールが届き、それに対して10分以内に返信しないと、「何しているんだ。男と会っているのか!」「友達におまえのいる場所を聞いて行くぞ!」と執拗にメールで追い回される。それが次第にエスカレートしてきた。

大学で他の男と話したりしていると、メールの内容が「ただじゃおかないからな」などと、暴力団まがいの文言になっていくのが怖い。
別れ話を持ち出したら、大学でも近所でも、どんなことを言いふらされるかわからない。実害はないので、警察でも相手にされないだろう。
親にも迷惑はかけたくない。怖くて嫌だと思いながらも、時には優しく「悪かった」と言ってくる。
「もうちょっと我慢しようかな」と許してしまう優柔不断な自分がいる。そんなことを何度も繰り返してきた。

常套句に騙されず、この経験を生かすために

こちらは、高山さんが今一番何を望んでいるのかを聞く。
「もういい、別れたい」高山さんの思いは固まっている。
そのうえで、 双方が母親を連れて来るという段取りを指示した。

1ヶ月後、高山さんと彼氏、皆が集まった。それまでの間に、高山さんは彼に「別れます」とメールで伝えていた。
案の定、彼氏は「すまなかった。暴力をふるわないと約束するからもう一度やり直したい」と言ってきた。DVの男性の常套句だ。
そこで、高山さんには、「私は、日本駆け込み寺の玄さんという人のところでボランティアを始めた。もし約束するのだったら、そこで会って話そう。きっとあなたのためにもなるよ」と言って、上手に彼氏を引っ張り出してきた。

高山さんは「メール・束縛・電話での暴言等が許せない。もう付き合えない」と決意が固い。そこで彼氏に「おまえは?」と聞くと「俺はどっちでもいい」という返事。「お前は相手が別れるといったら別れるんだな。どっちでもいいっていうことはそういうことだよ」と言ったら、彼氏は 黙ってうなずいた。この位の年代は、あきらめが早い。彼にクギを刺した。

「お前がもし、今後高山さんにしつこいことをしたら刑事事件になるからね。本人が嫌と言うことは今日で終わらせないと駄目だ」、高山さんには「今からメールアドレスを変える。彼からの電話は一切出ない。お互いの友人にも別れたことをはっきり宣言するんだよ」とアドバイス。第三者に別れたことを公にすることは大事だ。

女性の謝りグセを改善する

これまで、目に見えない恐怖におびえて、一歩が踏み出せなかったのだ。高山さんにも改めるべきことはある。
例えば、彼氏に10分以内に返信ができないと、彼女は「ごめん!」から始まるメールを打っていた。すぐに「ごめん」と謝ってしまう彼女の習性がDVを招く原因にもなった。
「彼は“謝るということは俺に惚れている”と、自分を正当化させてしまうし、“思い通りになる”と支配欲を増長させてしまう。謝りすぎるのはあなた自身の悪い癖、直したほうがいい」「1回でも、自分の人権を侵害したり、高圧的な態度に出たときは対等にけんかしなさい。そうすれば、男のほうが繊細で怖がりだから、コロッと態度は変わる」こんなふうに、1の経験で100を知ることができる。

双方に次のパートナーができたときにこれまでのことをぜひ生かしてほしい、そう願っている。

ここがPOINT

若い二人が、「フィフティー・フィフティーの関係」を作れる大人に成長できるように解決することである。
ただ、女性がこのような相談に来た時に、「あなたが彼の支配欲を増長させているのだから、あなたがきっぱりした態度をとれば解決する」などと、自分で解決するようにアドバイスするのはナンセンスである。そんなことができるなら、だれも苦労はしない。
DVの直接的な原因の解消は手伝ってやり、その後で、「DV男を増長させる態度をとらないこと」「DVにあっても逃げられること」を教えればいいのだ。

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