「薬物依存の姉に振り回され、家族全員が疲れ切っている」という妹さんからのご相談がありました。
元々、お姉さんは中学生になる息子さんと2人暮らしをしていて、離婚後も派遣社員として働いていたそうです。しかし、派遣先の社員から度重なるセクハラを受けたことがストレスとなり、ある日突然仕事に行けなくなってしまったそうです。その後、お姉さんは医師から「うつ」と診断され、生活保護を受給しながら静かな日々を過ごしていた様子でしたが、「久しぶりに出席した同窓会で同級生から違法薬物を勧められ、興味本位に使用したことが薬物乱用に繋がった」と妹さんは話しました。
そして、ある日。妹さんが両親と暮らす実家に、薬物の影響で半狂乱になったお姉さんが突然押しかけ、平和に暮らしていた家族の生活が一変します。お姉さんは薬物使用による幻覚と幻聴で人格が変わり、昼夜を問わず家の外に出て暴言を叫んだり、下着姿で道路に出ては独り言を言いながら包丁を振り回したりなどの奇行が出始めました。当然、そんな状態では息子さんの養育もままならず、息子さんは万引きや窃盗を繰り返して頻繁に補導されるようになりました。その度、妹さんがお姉さんの代理で駆けつけ対処してきたそうです。妹さんは、連日のように起こるお姉さん親子のトラブル処理に追われるうち、「いよいよとなったら、高齢の両親と心中するしかないか…」とまで追い詰められて相談に来ました。
この場合、身内であっても同情や世間体は捨てて専門家に繋ぐ勇気が必要です。家族間で解決できる問題と、できない問題があるからです。まず、事情を知る妹さんが警察に相談し、その上で直接自宅に来てもらうことを提案しました。さらに、お姉さんが暴れた時点で 110 番通報することも助言しました。また、今後最も懸念されるのは、長期に渡り母親から育児放棄を受けてきた中学生の息子さんについてです。親戚間で養育不可能な場合は、児童相談所を経て児童養護施設で生活することが考えられます。このお姉さんも、離婚後に子育てと仕事の悩みを抱え、身近に相談できる人がいなかったのかもしれません。もっと早い段階でご本人が周りに助けを求めていたら…周囲が息子からのサインに気づいていたら…ここまで重症化せずに済んだかもしれません。
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