兄家族のひきこもり|2016年4、5月の相談

相談者は 40 代の女性。兄(53 才)がニート状態となり、将来を心配した相談者が夫と共に相談に訪れた。

兄は 10 年前に「うつ病」と診断されてすぐ仕事を辞め、妻と離婚した。その後の生活は母(80 才)が兄と兄の子ども(21 才・19 才)の経済的面倒をみてきたという。離職後 10 年間、兄は一度も働かず「自分はうつ病だから働かなくていい」と周囲に吹聴していた、と話す。相談者は、それに加えて「兄が兄なら、子も子」と話す。相談者にとっての「姪・甥」のことだ。それぞれ健康で「働けるはず」だというが、二人とも一度も働いたことがないという。経緯を辿るうち、そもそも問題の根源となっているのは80才になる母の存在だった。母は未だに兄を不憫がって溺愛しているとのことで、兄が仕事を辞めてからというもの、就労、福祉、医療の支援からも孤立させてしまったようだ。
その例として、兄は病院への通院をやめ、再就職のために活動している様子も見えないという。兄の子どもも同様で、学校を卒業後、部屋にこもりっぱなしで社会に出る自信を持てないようだと話す。
そんな様子を見てきた相談者夫婦の不安の種は、近頃介護が必要となってきた母に代わり、『将来は自分たちが兄家族を世話しなくてはいけないのでは?』というものだった。相談者の夫は「私たち夫婦が姪・甥の面倒をみなかった場合、あの子たちが路頭に迷って事件でも起こしたらどうしましょう…」と言う。一通り話した後、最後に相談者は「兄家族には自立してほしい」と語った。

「この場合、もともと面倒をみなければいけない義務はない。事件を起こすかどうかは誰にも分からない。ただ、あなたがたの“不安に基づく漠然とした援助”が果たして相手の“自立”に役立つだろうか。中途半端な関わり方をすると、いずれお互いに憎しみを増す原因にもなる」と伝えた。
それでも、援助“する場合”“しない場合”を夫婦でよく話し合い、“する場合”の方法も助言した。
身内のこととなると、誰しも「冷静さ」より「感情」が強く動いてしまう面がある。しかし、お互いのために「真の援助」とは何なのかを、今一度考えてみるべきだろう。

 

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